シンガポールの南洋理工大学(NTU)は7月17日、シンガポールの研究機関リサーチネットワークおよび米国のAI搭載プラットフォームListenLabs.aiとの共同調査を通じて、ソーシャルメディア使用が若者の集中力の低下、感情の不安定化、脅迫的行動に関連していることを明らかにした報告書を発表した。

リサーチネットワークのジェームズ・ブリーズ(James Breeze)CEO(左)とNTUの神経科学者ジェマ・カルバート(Gemma Calvert)教授
(出典:NTU)
本調査はシンガポールおよびオーストラリアで実施され、13~25歳の若者583人とその保護者を対象に行われた。AIを用いたインタビュー・プラットフォームであるListenLabs.aiを通じて自然な音声データを収集・分析し、従来であれば6カ月かかる作業を2日間という短い期間で実現した。
主な調査結果は以下の通り。
NTUの神経科学者であるジェマ・カルバート(Gemma Calvert)教授は「TikTokのようなプラットフォームの影響について、私たちの研究結果は若い世代の心に与える現実的な影響を示す重要な証拠となります。これは個人の問題ではなく、政策立案者、教育者、テクノロジー企業など、すべての人々が注意を払うべき社会的懸念です」と語る。報告書の共著者であるリサーチネットワークのジェームズ・ブリーズ(James Breeze)CEOは「アテンション・エコノミーを構築したプラットフォームやデバイスメーカーは、ユーザーの幸福を最優先に据えて、その再設計に責任を持つべき時が来ています」と述べた。
本調査は、NTUのAI・社会科学分野での学際的な強みを生かしたものだ。完全な調査結果は、シンガポールとオーストラリア両国の教育政策立案者、学校、テクノロジー関係者に近日公開される予定となっている。また、より長期間にわたる注意力と精神的健康の傾向を追跡するための追跡調査の計画も進行中だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部