2026年05月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2026年05月

NTI-NTUコーポレートラボが本格稼働 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は4月20日、ナノフィルム・テクノロジーズ・インターナショナル(Nanofilm Technologies International)社と共同で、次世代のナノテクノロジー・ソリューションを開発するNTI-NTUコーポレートラボを正式に開所し、本格稼働を開始したと発表した。

(出典:NTU)

NTUキャンパス内に設置された6600万シンガポールドル規模の同ラボは、ナノフィルム・テクノロジーズ・インターナショナル社の産業規模コーティングシステムとNTUの先端研究基盤を備え、産業パートナーと研究、パイロット規模試験、人材育成を一体的に進める。2023年11月に設立され、現在は60人超の研究者と博士課程学生が、コーティング装置技術、先端材料、ナノファブリケーション、水素エネルギーの4分野で10件の産業志向プロジェクトに取り組む。

同ラボでは、先端半導体製造で課題となってきたシリコンウエハー上の1~3µmの微細孔内部に均一なコーティングを施す新プロセスを開発した。孔はチップ内の回路層を接続するためコーティングが必要だが、微小で深いため均一な被覆が難しかった。新プロセスは孔内部に薄膜を形成し、従来法より均一な被覆を実現する。また、人工知能(AI)システム用チップや高性能プロセッサー、3次元集積回路などの過熱問題に対応する熱伝導材料、窒化ホウ素について、従来の研究室設備の500倍の生産量を可能にするシステムも構築した。

医療分野では、人間の組織と安全に適合する炭素系ナノ複合コーティングを開発し、歯科、整形外科、関節インプラントへの応用を見込む。シンガポール国立歯科センター(NDCS)とは、歯科インプラントを含む歯科補綴物(ほてつぶつ)向けに同コーティングを臨床応用するため連携する。耐摩耗性、組織との統合性、抗菌保護を高め、治療効率の向上や回復期間の短縮、感染リスク低減につなげる狙いだ。さらに、水素の製造・利用に不可欠な水電解装置と燃料電池の部品についても、低コストで耐久性の高い材料・部品を開発している。

NDCSの臨床准教授で最高経営責任者のゴー・ビー・ティン(Goh Bee Tin)氏は「歯科補綴物には治癒期間の長さや感染リスクといった課題があります。三者連携を通じ、最先端研究を具体的な臨床ソリューションへ迅速に展開し、治療成果と患者ケアを高めたいです」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

  • アジア・太平洋総合研究センター
  • Science Japan
  • 客観日本
上へ戻る