この記事は7月15日に、NUS Newsに初掲載されました。
シンガポール国立大学(NUS)は7月15日、同大学の水素・炭素イノベーションセンター(CHCI)が、学術研究と商業利用の間の隔たりを埋め、脱炭素化技術の実用化を促進する水素・低炭素コンソーシアム(HyLoCC)を設立したと発表した。

水素・炭素イノベーションセンター(CHCI)を代表する研究者の一人、ヤン・ウェンミン(Yang Wenming)准教授(右端)と研究チーム。アンモニア燃料船舶用エンジンからの温室効果ガス排出量をほぼゼロにするために設計された、シリンダー内改質ガス再循環技術の実証模型と共に。
(提供:NUS)
HyLoCCは14日、CHCIのインダストリー・デーで、シンガポール貿易産業省のキース・タン(Keith Tan)次官(エネルギー・炭素・組織担当)により正式に発足した。創設メンバーはDBS銀行、ケッペル(Keppel)社のインフラストラクチャー部門、スルバナ・ジュロン(Surbana Jurong)社、YTLパワーセラヤ(YTL PowerSeraya)社の4社である。
HyLoCCは、研究機関、スタートアップ、企業とバリューチェーン全体の関係者と結ぶ強固なエコシステムを構築し、脱炭素化技術の研究成果の商業化と、研究開発から実用化までの一貫した展開を進める。主な活動は、学術界・産業界の専門家によるセミナーやワークショップ、交流会の開催、企業が抱える具体的な課題を解決するためのCHCI研究者との共同研究の促進である。さらに、水素・炭素利用技術を評価するCHCIの統合機器・分析プラットフォームを提供する。評価には技術経済性分析も含まれる。継続教育・訓練コースや大学院・学部生向けの共同プロジェクトを通じて、人材と専門知識も育成する。
CHCIのヤン・ニン(Yan Ning)センター長・教授は、発電用の化石燃料の燃焼が二酸化炭素排出の最大の要因だと指摘した。CHCIでは、化石燃料の有望な代替物で、発電利用時の副生成物が水だけで二酸化炭素を排出しない水素の製造・利用と、炭素の回収・変換方法を研究している。同教授は「科学的イノベーションを市場に広く普及させるには、研究室の枠を超えた専門知識が必要です。HyLoCCは、水素・低炭素分野の専門家がアイデアを出し合い、資源や情報を共有して現実社会の問題を解決する場です」と述べた。
CHCIは、テマセクからの寄付とNUSの追加資金を合わせた2500万シンガポールドルの投資により、2022年7月に水素イノベーションセンターとして設立された。2024年7月には600平方メートルの先端研究施設を開設し、2026年7月14日、水素と炭素の両分野でイノベーションを推進する現在の名称に変更した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部