中国科学院近代物理研究所の研究チームは共同研究者とともに、中国の超重元素研究加速器(CAFE2)を使って、新核種「プロトアクチニウム210(Pa-210)」を初めて合成した。同研究所が5日、明らかにした。これは現在知られているプロトアクチニウム同位体の中で、最も中性子が少ない核種となる。成果に関する論文は、国際学術誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載された。新華社が伝えた。
核種とは何か。論文の責任著者の一人で、中国科学院近代物理研究所の研究員である甘再国氏は、「原子核は陽子と中性子で構成される。原子核の中にある陽子の数が、原子の原子番号、つまりその原子がどの元素に属するかを決める。それぞれの元素の仲間にはたくさんの同位体があり、これらは陽子の数は同じだが、中性子の数が異なる。異なる数の陽子と中性子が、異なる核種を構成している」と説明した。
論文の筆頭著者で、同研究所の副研究員である張明明氏は、「新核種の合成と研究は、原子核物理学研究の最前線だ。原子核が存在できる限界を探ったり、新たな物理現象を明らかにしたり、物質の構造への理解を深めたりする上で、非常に重要な意義を持つ。しかし、極端に中性子が少ないアクチニウム系列では、新核種ができる確率が極めて低く、寿命も極めて短いため、実験で合成して研究するのは非常に困難だ」と述べた。
今回の研究では、研究チームはCAFE2が提供するカルシウム40のビームをルテチウム175の標的に照射し、融合蒸発反応によって新核種「プロトアクチニウム210」を合成した。また、プロトアクチニウム210のα崩壊エネルギーと半減期を測定し、既存の実験データと組み合わせることで、チームは重核領域の陽子ドリップライン付近における核種のα崩壊特性を体系的に拡充するとともに、安定線から遠い原子核の性質に関する理論モデルの予測を検証した。
論文の責任著者の一人で、中国科学院近代物理研究所の研究員である馬竜氏は、「この成果は、CAFE2が非常に低い反応断面積の条件下でも、目的の核種を合成して検出できる能力があることを証明したものであり、中国の新しい元素合成研究が貴重な経験を蓄積した」と語った。