2025年11月17日-11月21日
トップ  > 科学技術ニュース >  2025年11月17日-11月21日 >  植物体内でレアアースを「鉱物化」 中国の科学者が確認

植物体内でレアアースを「鉱物化」 中国の科学者が確認

2025年11月18日

 中国科学院広州地球化学研究所の朱建喜研究員率いるチームが、「ヒリュウシダ」と呼ばれるシダ植物の体内から、大量に濃縮されたレアアース元素を発見した。さらに、これらのレアアースが植物組織の細胞間で「自己集合(セルフアセンブリ)」し、「ランタンモナズ石」と呼ばれる鉱物を形成していることを初めて観測した。これは、天然植物中でレアアース元素の生物鉱化現象が確認された初めての発見となる。研究成果はこのほど、国際学術誌「Environmental Science & Technology」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。

 研究者によると、ヒリュウシダはレアアースを極めて高濃度まで蓄える「超蓄積植物」の一種で、環境中に分散しているレアアース元素をまるで「掃除機」のように吸い上げ、効率的に吸収・濃縮する能力を持つという。研究では、この植物の葉の維管束や表皮組織において、土壌から吸収されたレアアース元素がナノ粒子の形で沈殿し、さらに結晶化してリン酸塩系レアアース鉱物を形成することが確認された。

 朱氏は、「このプロセスは、実際には植物の自己防御メカニズムの一種だ。取り込まれた有害物質を植物が体内で『封じ込める』ように、細胞を傷つける可能性のあるレアアースイオンを鉱物構造の中に閉じ込め、不活性化して自然に『解毒』している」と説明した。

 モナズ石は産業上重要なレアアース鉱石だが、天然のモナズ石にはしばしば放射性のウランやトリウムが伴生しており、採掘や利用に課題をもたらしている。一方、ヒリュウシダが常温常圧の自然環境下で生成する『生物由来のモナズ石』は高純度で放射性を持たないため、環境負荷の低いレアアース抽出技術として大きな可能性を示している。

 植物の「鉱物生成能力」はこれまで、十分に評価されてこなかった。今回ヒリュウシダでレアアースの生物鉱化が観察されたことは、植物の生物鉱化メカニズムに対する認識を一新するとともに、これまでに知られている1000種近い超蓄積植物の研究に新たな視点をもたらすものとなった。

 今回の研究は、植物によるレアアースの「解毒」と生物鉱化のメカニズムを解明しただけでなく、将来のレアアース資源の持続可能な利用にも新たな方向性を示した。ヒリュウシダなどの超蓄積植物を栽培することで、汚染土壌やレアアース鉱滓の生態系を修復しながら、植物体から高価値なレアアースを回収できるため、「修復と回収の同時実現」を可能にするグリーン循環モデルの構築につながるという。

広州地球化学研究所(中国科学院傘下の研究所)
 
※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます
 

中国科学技術ニューストップへ
上へ戻る