中国科学院金属研究所の盧磊研究員のチームはこのほど、超高強度・高導電率・高熱安定性を兼ね備えた新型銅箔の開発に成功した。これにより、長年の課題を克服し、高性能銅箔製造に新たな技術ルートを切り開いた。関連成果は4月17日付の国際学術誌「Science」に掲載された。中国新聞網が伝えた。
銅箔はスマートフォン用チップやリチウム電池の製造に用いられるコア材料の一つだが、これまでは強度・導電性・耐熱性の3つの特性を同時に満たすことが困難という課題に直面していた。
従来の銅箔には、強度を高めれば導電性が低下し、耐熱性を高めようとすれば全体性能が損なわれるという問題があった。このため、AI時代における高い計算能力や新エネルギー分野の厳しい製造要件を満たすことができなかった。研究チームは「勾配を持たせた秩序構造」というミクロ設計を採用し、厚さ10マイクロメートル、純度99.91%の銅箔内に平均3ナノメートルの高密度ナノドメインを構築し、厚み方向に周期的な勾配分布を形成することで、構造的に性能のトレードオフを解消した。
この新型銅箔は主要性能指標で世界のトップレベルに達しているという。引張強度は最大900メガパスカル(MPa)で、一般的な銅箔の約2倍の強度を備えている。導電率は高純度銅の90%で、同程度の強度を備えた従来の銅合金と比べて約2倍の導電性能を実現した。さらに、通常環境下で6カ月間保管しても性能の劣化が見られず、高い安定性を示しているという。
今後、この新型銅箔によって、スマートフォン用チップやリチウム電池の性能向上につながる可能性がある。また、この技術は量産化への可能性もあり、高性能銅箔の製造技術として今後の展開が注目される。