中国の西安電子科技大学は、中国工程院の段宝岩院士(アカデミー会員)率いる「逐日プロジェクト」研究チームが、宇宙太陽光発電システム(SSPS)とマイクロ波無線電力伝送に関する地上検証システムを開発し、100メートル級の距離で1180ワットの出力を実現したと明らかにした。新華社が伝えた。
宇宙太陽光発電システムは、宇宙空間で太陽光エネルギーを集め、電力をマイクロ波などに変換して無線で送る構想である。段氏は「将来的には衛星が搭載する太陽電池パネルだけに頼らず、軌道上からマイクロ波で電力を供給する『無線充電ステーション』のような仕組みに応用できる」と説明した。
宇宙太陽光発電は近年、理論研究から実用化への重要な段階にある。段氏のチームは2014年、宇宙太陽光発電システムの「オメガ(OMEGA)」設計案を提案し、研究を進めてきた。2022年6月には、フルリンク・フルシステムの宇宙太陽光発電地上検証システムを構築した。
チームは学際的な融合・多システムの連携・システムの信頼性という観点から、分散型オメガ宇宙太陽光発電システムの設計案を打ち出した。併せて、遠距離・高出力・高効率で、1台の送電システムから複数の移動対象にマイクロ波で電力を送る技術を開発した。この技術は、複数の対象の位置に応じて電力供給を制御するもので、将来は複数の宇宙機や地上の移動設備に同時に電力を供給する用途が想定されている。
試験では、100メートル級の距離で、直流から直流への伝送効率が20.8%、出力電力が1180ワット、ビーム収集効率が88.0%となった。また、無人航空機(ドローン)を対象としたマイクロ波無線電力伝送システムでは、時速30キロ、距離30メートルの条件下で、143ワットを安定して受電した。
チームは、宇宙空間での発電を想定した太陽光の集光と光電変換の効率を高めたほか、送信アンテナと受信アンテナの一体化、小型化、軽量化を進めたとしている。これらは、将来的に設備を宇宙空間へ配置する際に必要となる技術だ。
陝西省技術移転センターがこのほど開催した成果評価会では、専門家グループが、今回の成果について「全体として国際的に先行する水準に達している」と評価した。また、宇宙太陽光発電システムとマイクロ波無線電力伝送の研究、産業化、工学的応用への展開が見込まれるとの見解を示した。