中国の農村地域で、ドローンやヘリコプターを活用する「低空経済」の導入が広がっている。長江を航行中の船舶への配送、ドローンによる農薬散布、山間部からの農産物輸送など、これまで難しかった作業に低空輸送が使われ始めた。新華網が伝えた。
「長江を航行中でもデリバリーを受け取れるようになった」「ドローンによる農薬散布のコストが大きく下がった」「山奥のマツタケを運び出せるようになり、収入も増えた」。こうした声が、農村地域での活用の広がりを示している。
2020年10月、中国民用航空局は、中国初となる計13カ所の民間無人航空機試験拠点・試験区を承認した。数年の間に、低空経済は実験段階から実用段階へ移り、農村地域でも農薬散布、救援支援、物流輸送など複数の分野で活用されるようになった。
農林業は、低空経済の導入が比較的進んでいる分野の一つだ。2026年に中国農業農村部(省)が公表したデータによると、中国の農業用ドローン保有数は30万機を超え、年間の作業面積は約3067万ヘクタールに達した。
雲南省紅河ハニ族イ族自治州紅河県の棚田では、今年の春から農作業にドローンが使われた。現地の村民は「以前は種まきのために家族総出で作業しなければならなかったが、今ではドローン1機で苗代全体に種をまくことができる。時間も労力も大幅に節約できる」と話した。
交通の便が悪い山間部では、低空輸送の効果がより分かりやすい。湖北省神農架林区で防火林帯の整備に参加する作業員は「以前は山へ苗木を運ぶのはすべて人力頼みで、往復に4時間かかり、1人が1日に運べるのは30~40キログラム程度だった。今はドローンに切り替えたことで、1回に30キログラム運べ、10分で1往復できる。1日に60~70回飛ばせるようになった。これまでなら2カ月かかる予定だった作業が、ドローンなら7日で完了できるようになった」と話した。
ヘリコプターやドローンは、農村地域の緊急救援でも使われるようになっている。安徽漢馳通用航空有限公司の李沢芳総経理は「ヘリコプター救援は従来の地上移動に比べ、対応時間を60%以上短縮でき、地上から到達できない複雑な地形にもアクセスできる。現在、安徽省南部の山間部では、地方病院から都市部の大病院へつなぐ空中救急ルートが構築されている。1回当たりの搬送時間は従来の2~3時間から30分以内へ短縮され、心筋梗塞や脳卒中患者の救命に必要な時間の確保につながっている」と述べた。
低空経済の活用が広がる一方で、農村地域では課題も残る。起降場所や通信・ナビゲーション設備の整備が十分でない地域があり、山間部や水域では通信信号が弱く、ドローンの安全運航に影響する場合がある。専門人材の不足も課題だ。中国民用航空局が公表したデータによると、2025年末時点で実名登録されたドローンは328万7000機に上る一方、飛行作業を担える操縦者は23万7000人にとどまった。
「中国低空経済発展指数報告(2026)」によると、2025年の中国の民間ドローンの総生産額は前年比約20%増の1761億元(1元=約24円)に達した。2030年末までに、農村地域における民間ドローンの市場規模は2500億~5000億元に達するとの試算もある。

(画像提供:人民網)