中国重慶市では、山間都市特有の地形や高層ビル群、トンネル、急勾配、多層立体交差などの道路環境を生かし、自動運転技術の検証が進められている。こうした環境では、感知範囲の制約、位置情報のずれ、通信信号の減衰、不安定な車間追従などが起きやすく、スマートカーが「正確に認識し、位置を把握し、迅速に判断し、安定して走行する」ための技術開発が課題となっている。科技日報が伝えた。
重慶郵電大学を中心に設立されたスマートコネクテッドカー・路車協調重慶市重点実験室は、こうした課題に対応するため、複雑な交通環境における信頼性の高い感知、高精度測位、安全な協調制御、路車クラウド融合、テスト・検証などの研究に取り組んでいる。
同実験室の2000平方メートルのスマートコネクテッドカー試験場には、車道、駐車区画、砂利道、勾配路などの道路環境が設けられており、各種自動運転車の試験が行われている。道路沿いの車庫には実験装置や設備が並び、研究者が調整作業を進めている。
同実験室責任者で、重慶郵電大学自動化学院教授の李永福氏は「従来のアルゴリズムは平野部ではうまく機能するが、重慶の地形では適応しにくい。多層立体交差によりルート計画が極めて複雑になる。高層ビル群の影響でGPS信号が頻繁に途絶え、連続するトンネルと急勾配により、光学センサーに依存する車両が一時的に周囲を認識しにくくなる」と説明する。
この課題に対し、同実験室の研究者は、単に制御プログラムを調整するのではなく、まず車両や道路環境のモデル化に取り組んだ。「車両・道路・クラウド・人・環境」のシステムが相互に影響する関係に着目し、複雑な外乱の下での車両の挙動を解析した。渋滞箇所だけでなく、渋滞の原因や、車両同士がどのように影響し合うかを把握するためだ。
同実験室の岑明教授は、重慶両路寸灘保税港区で行った自動運転レベル3のEV700自動運転物流車のテスト映像を紹介した。保税港区ではコンテナで視界が遮られ、衛星信号も届きにくいが、同車両は貨物の積み下ろし地点に正確に停車したという。
現時点で、同実験室が構築した「感知・測位・判断・制御」をカバーする自動運転技術体系は、実際の道路環境で検証されている。都市部の末端配送、施設内物流、港湾貨物輸送などでの自動運転の普及に向け、再現可能な技術ソリューションの提供を目指している。
山間都市での走行で課題となるのが、急な速度変化だ。特に長い下り坂やループ状のランプでは、先行車のわずかなブレーキ操作が車列の後方へ伝わり、その影響が増幅される。通行効率が下がるだけでなく、渋滞も起きやすくなる。こうした道路条件に対応するため、同実験室の研究チームはスマートコネクテッドカーの車列協調制御技術に取り組んでいる。
この技術では、後続車が先行車のブレーキランプを確認してから反応するのではなく、共有された運転状態の情報に基づいて、あらかじめ動きを調整する。李氏は「集団で階段を下りるようなものだ。先を歩く人が速度を落とそうとしていることを後ろの人が事前に知っていれば、次々と急停止するようなことは起きにくい」と説明する。
同実験室の研究者は、重慶長安汽車股份有限公司や招商局重慶交通科研設計院有限公司などと共同で、重慶墊江汽車総合試験場と招商局検測車両技術研究院有限公司金鳳試験拠点で大規模な実証試験を行った。複数ブランド・複数プラットフォームのスマートコネクテッドカーによる隊列走行でこの技術を使ったところ、トンネルや勾配などの場面でブレーキ回数が約60%減り、全体のエネルギー消費も約6.5%減少した。

(画像提供:人民網)