2026年3月6日

小林クリシュナピライ憲枝(こばやし・くりしゅなぴらい・のりえ):
長岡技術科学大学 IITM-NUTオフィス コーディネーター
<略歴>
明治大学文学部卒。日本では特許・法律事務所等に勤務した。英国に1年間留学、British Studiesと日本語教育を学ぶ。結婚を機にシンガポールを経てインドに在住。インドでは、チェンナイ補習授業校、人材コンサルティング会社、会計事務所に勤務後、現在は、長岡技術科学大学のインド連携コーディネーターを務めるとともに、インド工科大学マドラス校(以下IITマドラス校)の日本語教育に携わっている。IITマドラス校の職員住宅に居住している。
インド工科大学マドラス校 (IITマドラス校/IITM) は、外国人若手研究者を対象に、国際教員制度: Young International Faculty (以下YIF) を提供しているので、これを紹介する。
YIFプログラムの主な目的は、学術研究に熱意を持ち、IITマドラス校の研究者と共同研究することに意欲的な、外国人若手研究者と繋がることである。世界各国の著名大学から博士号取得直後の研究者、および博士研究員(非インド国籍者/非海外在住インド人)を、Assistant Professor相当の常勤外国人教員として採用する。
YIFプログラムは、当初2年間のポストを提供し、最大5年間まで延長可能である。これはテニュアトラックポストであり、IITマドラスのホスト研究グループにおいて、主に学術研究に専念したい者を対象としている。YIFは教員として、修士課程および博士課程の学生の共同指導も行う。研究と教育に割り当てられる時間の割合は、およそ90%:10%である。YIF参加者は、1学期に1つのコースを担当し、選択科目を提案する機会が与えられる。
候補者には、Visiting Assistant Professorの職位が当初2年間の任期で提供され、1年目終了時に評価が行われる。卓越した業績を上げた場合、3年目の任期延長の選択肢が与えられる。3年間にわたる一貫した優れた業績は、IIT Madrasにおけるテニュアトラック教員職への資格が付与される。
第1年度末までに、所属研究グループの大枠の中で独立した高影響力研究プログラムを確立すること。
第2年度末および第3年度末までに、関連分野のトップジャーナルへの論文掲載、特許出願、産業界・社会的に意義のある解決策など、重要かつ測定可能な研究成果を上げること。
IITMが提供する総報酬(福利厚生を含む)は月額180,000インドルピー(関連経験に応じて変動)であり、基本給と手当からなるIITM教員報酬構成に準拠している。YIFはIITM研究グループとの共同研究に加え、コンサルティングプロジェクトにも従事し追加収入を得ることが可能である。
https://ge.iitm.ac.in/programs/faculty-mobility/yif
https://ge.iitm.ac.in/resources/yif/YIF_tri-fold-brochure.pdf
応募は、IITマドラスの所属教員を通じて行う必要がある。応募書類には、詳細な学術履歴書(応募者の学歴、研究計画、産業コンサルティング計画(該当する場合)、過去の研究成果の詳細、受賞歴およびその他の表彰歴を明記)を含める。
申請用フォーム: https://ge.iitm.ac.in/forms/young-international-faculty
実際に、日本から、YIFプログラムを経てIITMの正教員になった多田翔太朗氏を紹介する。
YIFを経験しIITMで正教員に採用された第一号のケースでもある。

多田翔太朗氏
Assistant Professor, Department of Metallurgical & Materials Engineering, IIT Madras
多田氏は、2021年に名古屋工業大学の生命応用化学専攻で博士号を取得。2022年からYIFとなり、IITM金属材料工学科に所属した。IITMのホスト教授は、ラヴィクマール教授。2年間のプログラム期間の実績を評価され、2024年にYIFを一年延長。その後2025年に審査を経てIITMの正規Assistant Professorとなった。
同学科では、元素戦略に基づく材料設計の基盤として、ポリマー由来セラミックス(PDCs)を基盤とした研究に焦点を当てている。特に非酸化物材料、半導体材料およびハイブリッド材料の設計と機能開拓を中心に研究を進めている。
YIFに従事して以来、現在まで、二酸化炭素や水素などの小分子活性化を志向した表面化学設計や遷移金属・非酸化物セラミックス複合材料等に関する6報の科学雑誌への出版および1件の特許の共同出願をした。
2024年から現在まで、セラミックスの物理学(大学院コース)、および非金属材料概論(学部コース)の講義を担当している。
また、日本との関係において、2025年に名古屋大学とのワークショップをIITMで開催した。その後も共同研究を提案・実施しており、JSTによるインド若手科学頭脳循環プログラム(LOTUSプログラム)に採択された。今後は、IIT Madras にて新たに研究室(PreCAM Lab)を立ち上げ、日印間の共同研究や産学連携研究の推進にも積極的に取り組む。
YIFは助教授相当のテニュアトラックとして研究・教育のスタート地点になるだけでなく、日印の連携強化にも寄与する制度として期待される。
今後、日本から、多田氏に続くYIFへの挑戦者が多く輩出され、日印協力による更なる科学技術の発展に寄与する人財が増えることを期待している。
Office of Global Engagement,
Room 123, IIT Madras, Sudha and Shankar Innovation Hub Second Floor, IIT Madras, Chennai- 600036
担当者: Rupa Suhas Pandit (Ms.), Senior Project Officer, International Faculty Coordinator
Eメール: projects@ge.iitm.ac.in
電話番号: +91-44-22578869