インド科学技術庁(DST)は9月1日、これまで同庁長官(Secretary)だったアシュトーシュ・シャルマ(Ashutosh Sharma)氏が8月31日付で退任し、後任には現バイオテクノロジー庁(DBT)長官のレヌー・スワルプ(Renu Swarup)博士が兼務することを公表した。
レヌー・スワルプ氏(画像提供:DBT)
DSTはスワルプ新長官就任に際して、「DSTはスワルプ博士を歓迎する。彼女はDSTの責任を負う最初の女性長官である。DSTと傘下の全ての機関が、国家の進歩に向けて大きな貢献をできるよう、彼女の貢献と指導に期待している」とコメントした。
スワルプ新長官は、遺伝学と植物育種学で博士号を取得後、奨学金を得て英国でポスドクを経験し1989年に帰国。その後DBTに入庁し、2018年4月にはDBT長官に上り詰めた。
一方、名門インド工科大学(IIT) カンプール校(UP州)教授だったシャルマ氏は2015年1月にDST長官に就任し、科学技術分野においてモディ首相の右腕として活躍したハルシュ・バルダン前科学技術相(博士)の下で、6年8カ月にわたってDSTトップとしてインドの科学技術政策をリードした。
7月14日付の当サイト(下欄参照)でも報じたように、バルダン氏は、モディ首相による7月の内閣改造の直前に辞任した。今回の人事とバルダン氏の大臣職辞任との関係は不明。ただ、シャルマ氏の長期にわたる在任期間を考えると妥当な交代とも言える。
シャルマ長官の退任に関して、DSTは次のようにコメントした。
「シャルマ長官が在職期間中、リーダーシップを発揮してくれたことに感謝する。彼はDST率いて新規プログラムを立ち上げ、将来の課題に備えて新たな成長分野を探すことに邁進した」
シャルマ氏は自身のツイッターで、次のようにコメントした。
「私はDSTで6年8カ月働き、この度、職を離れることになった。DSTでは、科学技術とイノベーションの巨大なエコシステムを学び、かつ推進するという本当に素晴らしい経験ができた」
シャルマ氏は今後、IITカンプール校に復帰する予定という。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部