インドのバイオテクノロジー庁(Department of Biotechnology: DBT9)※1は、Gennova Biopharmaceuticals Ltd.※2がDBT傘下のバイオテクノロジー産業研究支援評議会(BIRAC)※3のCOVID Surakshaミッション※4からの支援を受けて、独自のプラットフォーム技術を使用して開発したオミクロン株に対応するメッセンジャーRNA(mRNA) ベースのブースターワクチン(GEMCOVAC®-OM)が、インド医薬総監局(DCGI)から緊急使用許可(EUA)の承認を得たと発表した。6月20日付け。
ちなみに本件に関連して、2022年5月11付けで、当サイト(Science Portal India)では先行して紹介した(「新型コロナのワクチン・治療薬の開発、政策ガイドラインの推進...インドバイオテクノロジー庁レビュー(下)」)。
GEMCOVAC®-OM は熱安定性を持つワクチンであり、他の承認済みmRNA ベースワクチンに使用されるウルトラコールドチェーン設備を必要としないので、インド全土での展開が容易になり、無針注射装置を使用して皮内に送達され、ブースターとして皮内投与すると、著しく高い免疫応答が生成されたというものだ。
DBTは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の武漢株に対して開発されたmRNAベースのプロトタイプワクチンの概念実証から第I相臨床試験までのプラットフォーム技術を開発するため、Gennova社のmRNAベースの次世代ワクチン製造技術の開発を支援してきた。このプロジェクトは、COVID Surakshミッションの下でさらに強力な支援を受けた。BIRACの専任ミッション実施ユニットによる「インド 新型コロナウイルス感染症ワクチン開発ミッション」は、さらなる臨床開発とプロトタイプワクチンのスケールアップを目的としており、2022 年6月29日にEUAを取得した。そして、その技術はCOVID-19に対するオミクロン株固有の追加免疫ワクチンの開発に応用されたという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部