2024年08月
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低所得世帯の医療費負担と医療保険に関する調査を実施 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は7月2日、IIT-Mや国際人口研究所(IIPS)、アナンド農業経営大学(IRMA)の研究チームが、低所得世帯の医療費負担と医療保険に関する調査を行い、低所得世帯の経済的困難に医療費が影響を与える要因を検証したと発表した。研究成果は学術誌Scientific Reportsに掲載された。

インドは、低所得者を含めた全ての国民が適切な医療を受けられるようにするため、 アユシュマン・バーラト国家国民医療制度(PMJAY)などの制度がある。PMJAYは、国内の最貧困層である約1億740万世帯のニーズに応えており、こうした制度としては世界最大規模である。

既存のインドの公的医療保険は限界があり、人々は健康上の問題が起こると医療費の自己負担を強いられている。さらに公的医療制度に関する信頼性も低いことから民間医療施設が選ばれ、その医療費負担に苦労しているという。これらの問題は、ハードシップファイナンスとして知られている。

論文の著者であるIIT-M人文社会科学部のアーリヤ・レイチェル・トーマス(Arya Rachel Thomas)氏らは、この問題をよりよく理解するため、2014年と2018年に実施された 全国標本調査(NSS)のデータを解析した。

この調査を通して、入院世帯に対するハードシップファイナンスは2014年~2018年にかけて改善されていることが示された。ただ、研究チームは、リスク・プールの利益を最大化し、低所得世帯の健康と福祉を守るため、政策立案者は機能的な医療保険プログラムの設計に取り組むべきだと考えている。

IIPSの所長兼教授であるサンジャイ・クマール・モハンティ(Sanjay Kumar Mohanty)博士は、「この研究はインドの医療財政調査に大きく貢献しました。著者らは、国内を代表するデータと健全な方法論を駆使し、低所得世帯の経済的困難に影響を与える要因を検証しました。一方で国内保険事情を変えた可能性があるPMJAYは2018年に実施されたため、この影響を評価することができない点は、データの限界でもあります」と研究成果を評価した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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