2025年03月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2025年03月

超低温の中性カリウム原子の量子輸送特性を研究 インド

インド科学技術省(MoST)は2月13日、研究者が量子システムにおける超低温原子の輸送特性を観察し、光パルスにさらされたときの振る舞いを研究したと発表した。研究成果は、学術誌Optics Letters に掲載された。

超低温原子が外部制御のレーザーを受けたときの輸送特性や拡散特性を理解することは、量子輸送の研究において重要である。この研究は、効率的でカスタマイズ可能で、高い伝導性を提供するスマートマテリアルの設計に役立つ可能性がある。

インド科学技術庁(DST)傘下のラマン研究所(RRI)の研究チームは、超低温中性カリウム原子の量子輸送特性の理解を試みた。RRIのサプタリシ・チャウドゥリ(Saptarishi Chaudhuri)氏は、「私たちの実験では、伝導性金属の電子の役割は、レーザー冷却された絶対零度付近の中性原子が担っていました。それらの輸送特性と、外部から調整可能な原子間相互作用に対する応答を観察することで、輸送特性が根本的に変化していることに気づきました」と述べた。

通常、このようなシナリオでは、原子は振り子のように振動することが予想される。しかしながら、チャウドゥリ氏は、「それどころか、過減衰振動から減衰不足振動への劇的な変化に気づきました。これは、原子と光子の相互作用によって可能になります」と説明した。

この現象は、トラップされた原子にレーザービームが瞬間的に加えられたときに、冷たい原子の雲を変位させるためである。原子は、その後すぐに、振動周波数の増加による減衰調和振動子のダイナミクスを模倣した。そして、原子は光会合(PA)共鳴付近で、別の強力なレーザー光にさらされた。これは原子間相互作用を変化させることが知られている。論文の筆頭著者であるアニルバン・ミスラ(Anirban Misra)氏は、「原子雲に突然の変位を加えたところ、原子間相互作用の存在下で集団振動が起こることが観察されました。これは驚くべき結果であり、直感に反するものでした」と述べた。

この研究で開発された包括的な理論モデルは、PA共鳴が原子間の相互作用の強度を強化することを考慮しており、分子共鳴を検出するための新しい方法の導入を可能にする。RRIの研究者は、今後詳細な研究を行うことにより、調整可能な相互作用に対するあらゆる量子システムの輸送特性について、より深い洞察を得ることができると述べた。

図1. Types of oscillations experienced by trapped ultra-cold neutral atoms

図2. Short-lived molecule formed in the presence of PA beam

図3. Effect on oscillation in absence (L) and in presence (R) of PA beam
(出典:いずれもPIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る