インドのゴアにあるCSIR国立海洋研究所(CSIR-NIO)の研究者らは、中央インド洋海盆(CIOB)の水深5000mの海底でマイクロプラスチックを発見し、海底におけるプラスチック汚染の調査を進めていることを発表した。科学誌nature indiaが2月14日に伝えた。研究成果は、学術誌Marine Pollution Bulletinなどに掲載された。
CIOBで鉱物を豊富に含むポリメタル・ノジュールの探索を始めたことで、海底におけるマイクロプラスチックの存在が明らかとなった。研究者らは海底の表層5cmのサンプルを分析したところマイクロプラスチック繊維を発見した。これまでのプラスチック汚染に関する研究の多くは、海洋の浮遊物を補足する広大な回転流である海洋ジャイアに焦点が当てられており、ジャイア以外の海域はほとんど調査されていない。そのため、プラスチック汚染のモデルと現実との間にギャップが生じている。カナダのニューファンドランド・メモリアル大学でプラスチック汚染と海洋炭素循環を研究しているシア(アリス)チュー(Xia (Alice) Zhu)博士研究員は現在海底には300万~1100万tのプラスチックが存在すると推定しており、これは浮遊しているプラスチックの100倍に当たる。
海洋中のプラスチック量とその行き着く先について、研究者も正確には把握できていない。また、生物汚染やプラスチックの断片化といった重要なプロセスについてもまだ十分に解明されていない。CIOBのマイクロプラスチックレベルは、北極圏や西太平洋と同様で、ポリアセチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールポリマーを含み、これらは合成繊維や漁業、排水流出による汚染を示唆している。CSIR-NIOの研究チームは今後予定されている深海採掘プロジェクトによって、CIOBにさらに多くのプラスチックが蓄積する可能性があると警告している。研究チームの一員である海洋生態学者のディネシュラム(Dineshram)氏は「環境影響評価(EIAs)や廃棄物管理プロトコル、採掘作業におけるプラスチック材料の使用禁止は、リスクを最小限に抑えるのに役立つでしょう。気候変動と資源採掘は、海洋汚染という課題を複雑化しています。このことを世界的な海洋保護の枠組みに組み入れる必要があります」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部