インドの研究者が参加する国際研究チームが、病気に対する私たちの感受性が異なる理由の解明に少しずつ迫っている。科学誌nature indiaが5月7日に伝えた。研究成果は学術誌Cellに掲載された。
この研究チームは、遺伝子や性別、年齢、病原体によって形成される特定のヒト免疫細胞の組成が、アジアの5カ国間で顕著に異なることを明らかにした。国立生物医学遺伝子学研究所(NIBMG)のアリンダム・マイトラ(Arindam Maitra)氏は、「この発見は、アジアの人々が特定の病気にかかりやすい原因を解明することを目的として最初に作られたアジア免疫多様性アトラス(AIDA)によるものです」と語った。
マイトラ氏は、AIDAは炎症性疾患、血液媒介性疾患、自己免疫疾患に重点を置いた疾患媒介性の変化の説明や、新しい治療法を開発するための健康な参照免疫データとして使用できる可能性があると述べた。
研究チームは、インド、日本、韓国、タイ、シンガポールの619人の健康なドナーから採取した120万個のヒト末梢血単核細胞(PBMC)を分析し、単一の免疫細胞の遺伝子の解読を行った。これらの研究により、インド人は NK 細胞は少ないが、ナイーブ B 細胞が多いことが明らかになった。
インドの研究チームを率いたジョン・C・マーティン肝臓研究・イノベーションセンターのパルタ・P・マジュムダー(Partha P. Majumder)氏は、「インド人にこのような影響が見られる正確な理由は不明です」と述べ、「インドでは、特定の原発性免疫不全症候群や関節リウマチなど、一部の自己免疫疾患の有病率が高い可能性があります」と付け加えた。
研究者らは、PBMCはヒトゲノムの80%以上の遺伝子を発現し、これらの細胞は免疫関連疾患のマーカーとして機能する可能性があると考える。マジュムダー氏は、「これらの免疫細胞は、結核、デング熱、カラ・アザールなどのさまざまな感染症にとって最も重要です」と述べ、マクロファージは結核感染、CD4陽性T細胞はHIV感染、血小板はデング熱感染など、特定の疾患は特定の免疫細胞タイプや細胞状態が影響を受けると指摘した。
インドの研究者らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)やデング熱を対象としたこれらの研究をすでに始めており、特定の疾患と感受性の調査を進めている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部