2025年10月
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第1回グリーン水素研究開発会議を開催 インド

インド新・再生可能エネルギー省(MNRE)は9月11日、ニューデリーで第1回グリーン水素研究開発会議を開催し、水素関連スタートアップ支援のため10億ルピー規模の提案募集を開始したと発表した。

(出典:PIB)

会議でプラルハド・ジョシ(Pralhad Joshi)新・再生可能エネルギー相は、研究成果を実用化に結び付け、産業の脱炭素化や雇用創出を進める意義を強調した。同相は、2023年にナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が立ち上げた国家グリーン水素ミッション(NGHM)を紹介し、総額1974億4千万ルピーの同計画は政策・規制、需要創出、研究開発、基盤整備の4本柱で推進されていると述べた。

今回の制度は水素製造や輸送、利用技術のパイロット事業を対象に最大5千万ルピーを助成する。会議では25社が電解装置やAI最適化、バイオ水素などを披露した。研究開発では既に23件が採択され、インド工科大学(IIT)、インド科学教育研究大学(IISER)、科学産業研究機構(CSIR)などが産業界と連携して実施している。第2回公募は7月14日に始まり、9月15日まで受け付けられている。国際的にはEU・インド貿易技術評議会の下で30件超の共同提案が寄せられている。

また同相は、タミル・ナードゥ州VOチダンバラナール港でのパイロット、鉄鋼分野の5件の脱炭素化実証、トゥティコリン港での船舶改修や燃料施設、燃料電池バスと補給所、肥料分野のグリーンアンモニア入札を紹介した。アンモニアは1kg49.75ルピーと過去最低価格で落札され、オディシャ州パラディープ・フォスフェッツから供給予定である。

制度面では水素認証制度や5施設の試験所、5600人以上の資格認定、送電料金免除が導入されている。主要港には輸出ハブが整備され、電力省傘下のインド最大の統合発電会社であるNTPC社やその他スタートアップや中小企業も参入している。

同相は、2030年までに年間500万tの水素生産、125GWの再エネ新設、8兆ルピーの投資、60万件の雇用、5000万tのCO2削減を目指すと述べた。さらに開会式ではアジェイ・クマール・スード(Ajay Kumar Sood)首席科学顧問が研究開発の不可欠性を強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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