インド工科大学マドラス校(IIT-M)は10月上旬、擬人化とミニマリズムを基盤とした新しいロボットおよび義手用の指「ハイブリッド指(HyFi)」を開発したと発表した。
本研究は、IIT-M工学設計学科のヴィグネシュ・ソンプル(Vignesh Sompur)氏、アソーカン・トンディヤス(Asokan Thondiyath)教授、および応用力学・生体医工学科のヴァラダン・エス・ケー・エム(Varadhan S.K.M.)教授によるものである。研究チームは、人間の指の自然な動きを再現しつつ、構造をできる限り単純化することを目指した。
ロボットハンドの設計には、腱で駆動する「腱ベース指」と、関節をリンクでつなぐ「リンクベース指」の2方式がある。腱ベースは生体模倣性に優れる一方で、摩擦や力の出力の低下などの課題がある。リンクベースは力の出力は高いが、動作が人間的でなく、把持に時間がかかる点が問題とされてきた。
これらの欠点を補うため、チームはアクチュエータ(駆動装置)の数を減らす「アンダーアクチュエーション」を導入した。さらに、人間の脳が少数の変数(シナジー)で多様な手の動作を制御しているという仮説を応用し、効率的な制御を実現した。HyFi指は3本の指骨から成り、リンク構造と腱制御を組み合わせることで、形状適応と関節連動を両立している。
研究チームは、指の人間らしさを定量化する新たな指標「指擬人化指数(FAI)」を提案した。従来、把持性能の評価指標は存在していたが、個々の指の動きを対象としたものはなかったという。実験の結果、従来の義指に比べ、HyFi指はより高い接触力を示し、擬人化動作の改善が見られた。
インド工科大学ルールキー校(IIT-R)機械・産業工学科のプシュパラジ・パータク(Pushparaj Pathak)博士は、「本研究はリンク構造と腱制御を組み合わせたハイブリッド指機構を提示しています。この設計は擬人化されており、指が形状適応性を備えています。実験と理論の両面で高く評価されます」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部