2026年02月
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デング熱抗体が新型コロナウイルスの進化に影響 インド

インドの科学産業研究機構(CSIR)傘下のインド化学生物学研究所(IICB)は、デング熱流行地域に存在するデングウイルス特異的抗体が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に選択圧を与え、その進化過程に影響を及ぼしてきた可能性を示す研究成果を明らかにした。科学誌nature indiaが1月20日に伝えた。研究成果は学術誌Computational and Structural Biotechnology Journalに掲載された。

デングウイルス特異的抗体は、デング熱ウイルスに対する免疫応答として産生されるが、SARS-CoV-2も認識して中和できることが知られている。研究チームは、こうした抗体がデング熱流行地域においてSARS-CoV-2に選択圧を与える可能性がある点に着目した。

研究では、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に含まれる、ヒト細胞受容体への結合を担う領域を対象に、複数のウイルス株間で構造比較を行った。その結果、中国で最初に確認された初期株ではデング熱抗体との強い結合が観察された一方、後期に出現した株では結合が徐々に弱まり、オミクロンやBA.2といった最近の系統では、結合はほとんど認められなかった。

さらに、パンデミック以前に採取されたヒト血清を用いた実験により、デング熱抗体がSARS-CoV-2に結合し、ヒト細胞との相互作用を阻害できることが確認された。研究チームは、デング熱流行地域において、こうした抗体の存在がSARS-CoV-2の変異蓄積と系統変化を促した可能性があるとしている。

デングウイルスとSARS-CoV-2は異なるウイルス科に属するが、免疫学的な相互作用を通じて一方のウイルスが他方の進化に影響を与える可能性が示された点が、本研究の特徴である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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