インド科学技術省(MoST)は1月29日、国家科学技術イノベーション政策2020が草案であったため同政策に基づく予算措置は行われていない一方、その後、研究開発エコシステムの強化を目的とする複数の新たなイニシアチブやミッションを導入してきたと発表した。
同省によると、国家科学技術イノベーション政策2020は正式な政策文書ではなく草案にとどまっているため、同政策そのものに基づく予算配分や支出は実施されていない。一方で、その後の取り組みとして、研究開発・イノベーション(RDI)スキームの導入や、アヌサンダン国立研究財団(ANRF)の設立、国家量子ミッションの開始など、研究開発体制を強化するための施策が進められてきた。RDIスキームは6年間で1兆ルピーの資金枠を有し、ANRFには中央政府から1400億ルピーが計上され、非政府部門からの追加的な資金調達も検討されている。
科学技術庁(DST)が公表した2025年版R&D機関ディレクトリによれば、国内には科学、技術、農業、医療、防衛、宇宙などの分野にわたり、622の国立研究所および研究機関が存在する。これらの機関では、技術移転事務局(TTO)やインキュベーションセンター、官民パートナーシップ、ライセンス制度などを通じて、研究成果の商業化に向けた仕組みが整備されてきた。
インド政府首席科学顧問室がまとめたイノベーション卓越性指標の評価報告によると、2021~2023年の2年間に233機関から1622件の特許が出願され、232機関に1356件の特許が付与された。また、同期間に1839件の技術移転が行われ、1014の新製品と1746の新サービスが導入された。公立の研究開発機関は、深海探査ミッション、人工知能(AI)ミッション、国家量子ミッションなどの国家ミッションも主導している。
さらに、情報交換や知識創出、専門知識の共有といった国際協力を含む政府の取り組みにより、インドは研究論文数で世界第3位、新興企業数で第3位、博士号授与数で第4位、特許出願数で第6位となり、グローバル・イノベーション・インデックス(GII)の順位も2015年の81位から2025年には38位へと上昇している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部