インド理科大学院(IISc)は1月30日、火星土壌に含まれる有毒物質である過塩素酸塩が、土壌をレンガ状に固める細菌の増殖やバイオセメンテーション能力に与える影響を明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌PLOS Oneに掲載された。
火星土壌には最大1%の過塩素酸塩が含まれる可能性があり、生物にとって強いストレス要因となる。研究チームは、ベンガルールの土壌から分離したSporosarcina pasteuriiの在来株を用い、尿素やカルシウム、天然接着剤グアーガムとともに模擬火星土壌に添加して実験を行った。この細菌は炭酸カルシウム沈殿を生成し、土壌粒子を接着する。
IISc機械工学科のアローク・クマール(Aloke Kumar)准教授は、火星という異質な環境が地球生物にどのような影響を及ぼすかを理解することは重要だと語る。実験の結果、過塩素酸塩存在下では細菌の増殖が遅くなり、細胞が丸みを帯びて凝集するなどストレス応答が見られた。また細胞外マトリックス(ECM)の分泌が増加し、電子顕微鏡観察では沈殿物と細胞を結ぶ「マイクロブリッジ」構造が確認された。
一方で、過塩素酸塩、グアーガム、塩化ニッケルを同時に含む条件では、土壌の接着強度が向上した。筆頭著者のスワティ・ドゥベイ(Swati Dubey)氏は、過塩素酸塩は単独ではストレス要因ですが、適切な成分がそろえばレンガ形成を助ける効果を発揮すると説明した。研究チームは今後、高CO2環境下での実験を進める予定だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部