韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は6月10日、低軌道(LEO)衛星通信分野における産業競争力育成のための総事業費3199億9000万ウォン(政府予算3005億5000万ウォン)、事業期間6年(2025年~2030年)の研究開発プロジェクトが5月下旬に予備的フィージビリティスタディを通過したことを発表した。
このプロジェクトは、LEO衛星通信のコア技術における技術的自立を達成し、世界市場に参入する能力を国内企業に備えさせることを目的としている。2030年までに、6GベースのLEO通信衛星を2機打ち上げ、地上局と端末局からなるパイロットネットワークを確立することを計画している。
2020年代後半に6G標準の完成が見込まれる中、LEO衛星通信市場は2030年代までに標準化された市場に完全に移行することが予想されている。国内企業が6GベースのLEO衛星通信市場に参入する準備をするには、今が最適な時期と言える。
MSITはこのプロジェクトを通じ、通信ペイロード、地上局、端末局の各分野における11の中核技術の確保を目指している。具体的には、衛星追尾・通信リンク形成、衛星移動による信号誤差の補償、衛星ハンドオーバー、中継・トラフィック分配のための衛星リンクに関する技術の開発を予定している。
韓国政府は、2023年9月の緊急閣僚会合で、次世代ネットワークに備えた衛星通信政策の青写真となる「衛星通信戦略」を発表し、国内の衛星通信産業の競争力強化に向けた研究開発を継続的に強化することを公約した。今回のプロジェクトは、この目標を達成するための重要な施策となる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部