2024年08月
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イオン液体の革新的な合成・精製技術を開発 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は7月5日、同校と韓国化学研究院(KRICT)のCO2&エネルギー研究センター(CO2 & Energy Research Center)、全南大学校(CNU)との共同研究チームがイオン液体を効率的に合成・精製するプロセス技術を開発したと発表した。この研究成果は、Industrial & Engineering Chemistry Research (I&EC Research)のオンライン版にカバー論文として掲載された。

イオン液体は、不燃性、低揮発性、熱的・化学的安定性などのユニークな性質を持ち、触媒や電解質などさまざまな工業的用途に利用されている。最もよく研究されているイオン液体の一つである[bmim][BF4]*は、高い安定性と低毒性で知られているが、合成中の塩化リチウム(LiCL)などの不純物を除去する複雑で高価な工程が、商業化の大きな障壁となっていた。

今回、POSTECH化学工学科(Department of Chemical Engineering)のハン・ジフン(Han Jee-hoon)教授率いる共同研究チームは、従来の方法よりも経済的かつ効率的に[bmim][BF4]を合成するために、クロロジフルオロメタン(Rf-22)を用いた。Rf-22を相分離メディエーター(phase separation mediator)として使用することで、メチルイミダゾールを含む混合物を2つの異なる層に分離させることができた。

研究チームは、[bmim][BF4]、水、ハロカーボン混合物の比率を変化させて相分離を観察し、収集したデータをもとに三元相図モデリングを用いることで、純度99%を超える高純度[bmim][BF4]の製造に成功した。さらに、合成反応に関与しなかったメチルイミダゾールを含む層を効果的に回収し、再利用することにも成功した。

(出典:いずれもPOSTECH)

この研究で開発した精製技術の経済的実現可能性を評価するプロセスシミュレーションの結果、最低販売価格は1トン当たり約1万2000ドルと算定された。これは、既存のプロセス技術よりも競争力があり、商業化できる可能性を示している。

  • *1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロ酸(1-butyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate)、[ ]はイオンを表す。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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