韓国科学技術情報通信部(MSIT)は5月26日、国家級スーパーコンピューター第6号機の建設契約をヒューレット・パッカード・エンタープライズ(Hewlett Packard Enterprise:HPE)社と締結したと発表した。
本契約は、韓国科学技術情報研究院(KISTI)とHPE社との間で結ばれたものであり、5年間の保守費780億ウォンを含む総額3825億ウォンに達する。入札は6回実施され、最終的に技術力や価格面で最も有利と評価されたHPE社が選定された。
HPE社は、高性能計算(HPC)向けに設計された独自の相互接続技術を有し、大規模インフラの導入に豊富な実績を持つ。同社が構築したスーパーコンピューターは、2024年11月時点の世界ランキング「Top500」において106台がランクインしており、上位5台中3台に同社の技術が使用されている。
今回の第6号機には、エヌビディア(NVIDIA)社製の最新GPU「GH200」を含む8496基が搭載され、ピーク性能600ペタフロップス(1ペタフロップスは、1秒間に1京回の演算を実行できる計算性能)、ストレージ205ペタバイト(PB)、通信速度400Gbps超という構成となる。これにより、世界トップ10のスーパーコンピューター入りが見込まれており、完成は2026年上半期を予定している。
MSITは3月に「AI+S&T推進戦略」を公表しており、AIを用いた科学技術分野の研究開発を加速させることを目指している。この戦略では、次世代材料や革新的医薬品、宇宙探査、超微細半導体など8分野において特化型AIモデルの活用を推進し、従来の研究手法からの転換を図る。
現在、韓国の公共部門では高性能GPUの共有インフラが不足しており、多くの研究者が高額なGPUを自費で購入するか、海外のクラウドサービスを利用している。この状況は、研究コストやデータセキュリティの懸念を招いている。そのためにもMSITは、AI+S&Tの需要や、50~200基規模のGPUを必要とする中~大規模AIモデル開発に対応することを目的とし、第6号機の迅速な稼働を進めていく方針である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部