韓国科学技術院(KAIST)は9月30日、同院の研究成果を基に設立されたスタートアップ企業が、造船所や都市環境での作業に対応する次世代歩行ロボットの商用化を進めていると発表した。

ディデン・ロボティクス社の開発チーム
ディデン・ロボティクス(Diden Robotics)社は、鋼鉄製の壁や天井を登って作業できる産業用四足歩行ロボット「DIDEN 30」を開発し、2026年下半期からは溶接・検査・塗装作業への実用化を目指している。
同社はまた、自社開発のAI学習プラットフォーム「DIDEN World」を活用している。このプラットフォームはオフライン強化学習方式を採用し、AIが仮想シミュレーション上で最適な動作データを事前に生成する仕組みを備える。さらに、ロボットの「目」となる3D認識技術の高度化を進め、2026年までに作業員の介入を必要としない完全自律歩行システムの構築を目指している。9月にはサムスン重工業(Samsung Heavy Industries)社との共同開発により、造船ブロックでの乗り越え試験や溶接作業に成功し、産業現場での有効性を確認した。
一方、ユーロボティクス(Eurobotics)社は、KAISTのヒョン・ミョン(Hyun Myung)教授の研究チーム出身者3名によって設立された自律歩行ロボット開発企業である。同社は屋内外や不整地でも安定して歩行できるヒューマノイドロボットを開発し、その中核技術「ブラインドウォーキングコントローラ」は、カメラやLiDARを用いず、内部情報のみで地形を推定し歩行を制御する技術である。昼夜や天候に影響されず、歩道や下り坂、階段など多様な環境で同一制御下の歩行を実現する。
この技術は、2023年の国際ロボット工学・オートメーション会議(ICRA)でKAISTチームが四足歩行競技においてMITを破り優勝した研究を基盤としている。ユーロボティクス社の最高経営責任者ユ・ビョンホ(Byung-ho Yoo)氏は「この映像は完全自律歩行への第一歩です。研究成果を産業現場で活用できる技術に発展させていきます」と述べた。
KAISTのイ・グァンヒョン(Kwang Hyung Lee)総長は「今回の成果は、KAISTの基盤技術がスタートアップを通じて産業分野に広がっていることを示す事例です」とコメントした。

ディデン・ロボティクスの外板(Longi)と溶接試験

ディデンのロボット(DIDEN 30)

ユーロボティクスのヒューマノイドロボットの歩行
(出典:いずれもKAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部