2026年02月
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一枚の薄板で複数周波数の弾性波を同時に識別・集束 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は1月26日、POSTECHの研究者らが一枚の薄い金属板で複数の周波数の弾性波を同時に識別し、それぞれを異なる位置へ集束させる世界初の技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

本研究は、構造物に振動として伝わる弾性波の制御を対象とした。弾性波は建物や機械の健全性を調べる非破壊検査に広く利用されているが、周波数がわずかに変わるだけで波の伝わり方や形状が大きく変化するため、従来は単一周波数しか扱えないという制約があった。そのため、異なる周波数ごとに別々の装置が必要とされてきた。

POSTECH機械工学科、化学工学科、電気工学科、融合科学技術大学院に所属するロ・ジュンスク(Junsuk Rho)教授の研究チームは、この課題に対し、弾性波が薄板内を伝播する際に板の厚さによって位相が変化する点に着目した。板厚の分布を精密に設計することで、同じ構造であっても周波数ごとに異なる波の応答を引き起こせることを理論と実験の両面から示した。

(a) Schematic of frequency multiplexing achieved by comining phase profiles derived from plate theory with wavefront-engineered phase control.
(b) Photograph of the fabricated elastic metasurface that selectively focuses elastic waves at different frequencies.
(c) Results showing elastic waves being focused at distinct spatial locations depending on frequency.
(出典:POSTECH)

研究チームは、40kHz、60kHz、80kHzの3つの周波数について、それぞれ異なる焦点位置を持つよう板の厚さを設計し、周波数多重弾性メタサーフェスを作製した。その結果、一枚の薄板のみで各周波数の弾性波を別々の空間位置に正確に集束させることに成功した。さらに、集束点に圧電素子を配置することで、目的の周波数信号を他の周波数と比べ最大48倍まで増幅できることを実証した。

この技術により、これまで複数のデバイスと複雑な測定システムを必要としていた波動制御、周波数分離、空間的な信号誘導、電気信号への変換といった機能を単一の構造体に統合できる。同教授は、1つの構造は1つの機能しか持てないという従来の考え方を覆す成果で、高価な装置を用いずに振動を周波数選択的に検出・増幅でき、産業、防衛、エネルギー、センシングなどの幅広い分野で応用が期待できると研究の意義を強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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