2026年04月
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移植臓器の表面に直接噴霧する免疫抑制スプレーを開発 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は3月5日、韓国の梨花女子大学との共同研究チームが、ムール貝由来の接着タンパク質を用いて免疫抑制剤を移植臓器の表面に直接噴霧する「Immune-Shield」技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Journal of Controlled Releaseに掲載された。

臓器移植は、事故や病気で機能を失った臓器を回復させる有効な治療法だが、移植後に起こる免疫拒絶反応が大きな課題となっている。移植可能な臓器は世界的に不足している。動物の臓器を人間に移植する異種移植は臓器不足を補う手段として注目される一方、拒絶反応を防ぐため患者は免疫抑制剤を継続的に使う必要がある。しかし、経口薬や注射では薬剤が全身に広がり、腎毒性や感染リスクの上昇など深刻な副作用を招く恐れがあった。

POSTECH化学工学科・融合科学技術学部のチャ・ヒョンジュン(Hyung Joon Cha)教授らは、薬剤を全身ではなく移植臓器に直接届ける方法に着目した。研究チームは、水中でも強く付着するムール貝の性質を応用し、免疫抑制剤を含む微小なゲル粒子を臓器表面に密着させる接着性マイクロゲルを開発した。これをスプレーで吹き付けることで、濡れた臓器表面にも安定してコーティングでき、表面に残ったマイクロゲルが薬剤をゆっくり放出する仕組みだ。

(出典:POSTECH)

異種移植実験では、Immune-Shieldの適用によって免疫細胞の浸潤と炎症反応が大きく抑えられ、移植組織の生存期間も大幅に延びた。免疫抑制効果は従来の薬剤投与法の2倍以上だったとしている。複雑な形状の臓器にも使いやすいスプレー方式であることから、今後は異種移植の成功率向上につながる技術として期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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