韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は3月31日、人工知能(AI)を活用して科学技術研究の生産性向上と国家的課題の解決を目指す官民連携プロジェクト「K-ムーンショット戦略」を本格始動し、企業との了解覚書(MoU)を締結したと発表した。
本戦略は、AIと科学技術の融合により研究開発の方法そのものを根本的に転換し、国家的課題の解決と研究革新の加速を図るものである。AI資源と研究能力を総動員し、2030年までに研究生産性を2倍に向上させるとともに、先端バイオ、素材、未来エネルギー、フィジカルAIなど8つの戦略分野において、2035年までに12の国家ミッションの達成を目指す。
3月11日にソウルで開催された締結式には、AIインフラ企業および各分野の企業代表ら約50人が参加した。これまでに計161社が参画意思を示しており、そのうちAIモデル、計算基盤、ネットワーク、データ基盤を担う88社を中核として「K-ムーンショット企業パートナーシップ」を構築する。
同パートナーシップは、AI資源の提供や技術協力、共同研究開発、実証を推進するとともに、研究データやGPUなどのインフラ支援、さらには成果の事業化支援などを通じて、科学技術分野におけるAI活用の基盤強化を図る。今後はタスクフォースの下でミッション別の推進体制を整備し、産学官連携による研究活動を展開する。
また、韓国科学技術研究院(KIST)、韓国電子通信研究院(ETRI)、韓国科学技術情報研究院(KISTI)などの政府出資研究機関も参画し、研究基盤の強化とプロジェクトの円滑な推進を支える。
米国や中国、グローバルIT企業を含むAI主導の科学技術競争が激化し、技術主導権を左右する決定的局面にある中、同戦略は国家的能力を結集して研究革新を加速する取り組みと位置付けられる。
ペ・ギョンフン(Bae Kyunghoon)副首相兼科学技術情報通信相は「AIは科学技術研究の方法そのものを根本から変革しており、今は国家の総力を結集すべき『ゴールデンモーメント』です」と述べ、「AIアポロ時代に向けて、K-ムーンショットを通じて韓国が技術追随型から未来技術を主導する国へと飛躍することを目指します」と強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部