2024年06月
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米企業が豪州に世界初の実用規模の誤り耐性量子コンピューター構築

(出典:豪政府)

オーストラリア産業・科学・資源省(Department of Industry, Science and Resources)は4月30日、オーストラリア連邦政府とクイーンズランド州政府が、米国の量子技術企業サイクオンタム(PsiQuantum)に約10億豪ドルを出資し、豪ブリスベンに世界初となる実用規模の誤り耐性量子コンピューター(fault tolerant quantum computer:FTQC)を構築する計画を支援することを発表した。

サイクオンタム社は以下のような活動を計画している。

  • ブリスベンにアジア太平洋地域の統括本部を設け、実用規模のFTQCとその後継世代を構築・運用する
  • 約400人分の高技能職を創出する
  • 豪州の量子業界や先進製造クラスターとのパートナーシップを確立する
  • 気候研究に特化した研究センターを創設する
  • デジタル・先進技術サプライチェーンに関する新たな機会を開く
  • 博士支援やメンタリング、インターンシップの機会を含む大学・研究機関との連携に投資する

ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)によると、この世界初の実用規模FTQCへの投資により、2040年までにGDPが480億豪ドル増加し、24万人分の雇用が創出される可能性がある。

この投資は豪政府の「国家量子戦略(National Quantum Strategy)」と豪州の量子産業の繁栄に向けたビジョンの実現を後押しすると期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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