2024年07月
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水質モニタリングシステムAquaWatchの新たな試験を米国で実施 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月1日、同機構が開発する水質モニタリング・予測サービス「AquaWatch Australia」の試験を米カリフォルニア州で実施することを発表した。

同機構はカリフォルニア大学デービス校(University of California Davis)、カリフォルニア大学マーセド校(University of California Merced)、米国地質調査所(USGS)Water Science Laboratoryと連携し、農業やサンフランシスコ湾の自然生態系にとって重要な水域であるサクラメント・サンホアキン川デルタ(Sacramento-San Joaquin River Delta)に試験施設を設置する。

サンホアキン川デルタに設置されたCSIROの水質センサー
(出典:CSIRO)

CSIROのアレックス・ヘルド(Alex Held)博士は、AquaWatchを多様な水域や生態系で試験することは、豪州や他国におけるシステムの構築と改善に役立つと語る。また同博士は、「AquaWatchは、水センサーと衛星からのデータを先進的なデータアナリティクスを用いて処理し、ほぼリアルタイムの水質モニタリングと予想を提供する、世界初のシステムになる」との展望を述べた。

さらに、カリフォルニア大学マーセド校のエリン・ヘスティア(Erin Hestir)博士は「このセンサーを用いることで、絶滅の危険性が極めて高い魚デルタスメルト(Delta smelt)にとって重要な水質指標である濁度を推定できるほか、水銀などの重要な汚染物質の移動状況を明らかにできる可能性がある」と、デルタの生態系の保全におけるこのプロジェクトの意義を語った。

このプロジェクトは、2023年に豪州政府とカリフォルニア州政府が締結した、気候変動対策における協力に関する了解覚書(MoU)に基づくものである。

CSIROは豪州の7か所に加え、イタリア、マレーシア、英国にもAquaWatchの試験施設を設置している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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