オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は6月28日、米デル・テクノロジーズ(Dell Technologies)と共同で、高速でエネルギー効率に優れたハイパフォーマンスコンピューター(HPC)クラスターを構築したことを発表した。
(出典:CSIRO)
「Virga」と名付けられたこのシステムは、豪州のデータセンター事業者CDCが運営するキャンベラのデータセンターに設置される。デル社の最先端サーバー「Dell PowerEdge XE9640」を基盤に構築されており、人工知能(AI)ワークフローを最適化し、直接液体冷却を用いて高い電力効率を実現するよう設計されている。豪州でこの種のシステムが展開されるのは初めてとなる。
CSIROのデジタル・国立施設・国立コレクション担当事務局長(Digital, National Facilities and Collections Executive Director)エレノア・ハンティントン(Elanor Huntington)教授は、Virgaは機械学習とAIに不可欠なコンピューティングインフラを提供し、豪州の産業や経済の成長を促すだろうと期待を寄せている。
CSIRO傘下のオーストラリアeヘルス研究センター(e-Health Research Centre)に所属するジェイソン・ダウリング(Jason Dowling)博士は、医用画像解析の分野で先進的なコンピューティング能力とデータ処理能力が緊急に必要とされているとし、「我々はQueensland Children's Hospitalとの共同プロジェクトで、この新たなクラスターを用いて、嚢胞性線維症を患う小児の肺のMRIスキャンに基づき病態を診断するAIモデルを訓練する」との計画を述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部