オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10月30日、印刷技術で製造するフレキシブルな太陽電池技術の商用化を目指す680万豪ドルの研究施設を豪ビクトリア州クレイトンに開設したと発表した。
ビクトリア州クレイトンにある印刷技術で製造するフレキシブルな太陽電池技術の商用化を目指す研究施設
(出典:CSIRO)
CSIROが開発したこのフレキシブルな太陽電池は、次世代の太陽電池材料として注目されるペロブスカイトを原料とし、プラスチックの薄膜にロール状に巻き取る方式で印刷できる。軽量で持ち運びが容易であり、都市建設、宇宙、防衛、鉱業、緊急事態管理、災害救助、ウェアラブルデバイスなどのさまざまな用途に活用できる可能性がある。
CSIROの再生可能エネルギーシステムグループ(Renewable Energy Systems Group)を率いるアンソニー・チェスマン(Anthony Chesman)博士はこの電池の生産技術について、「我々の新たなシステムは高度に自動化されており、複数の印刷・ラミネート工程を連続した1回の運転で実行することで、生産コストと先行投資を大幅に削減する」と語った。
CSIROでは現在、この施設でフレキシブルな太陽電池の商用化を目指す産業パートナーを探している。またこの施設は、太陽電池だけでなく、印刷可能な材料を用いたバッテリーや水素技術の探索も視野に入れている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部