2024年12月
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画期的電解技術の商用化試験を支援 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は11月6日、豪州の企業ハディアン・エナジー(Hadean Energy)が、同機構の「水素技術実証施設(Hydrogen Technology Demonstration Facility:HTDF)」を利用して、水素を効率的に生産できる画期的な電解技術の商用化に向けた試験を行っていることを伝えた。

HTDF内の試験装置とクリス・ローランド(Chris Rowland)氏ら

HTDFはCSIROのクレイトン(Clayton)キャンパス内に設置された施設であり、水素技術の試験や実証を行う企業や研究機関の研究者に、再生可能電気や大量の脱イオン水、各種機器や安全装置といった設備と技術的なサポートを提供している。

ハディアン・エナジー社が開発する管状固体酸化物電解(tubular Solid Oxide Electrolysis)技術は、従来の電解技術よりも30%少ない電力でグリーン水素を生産でき、合成ガスも効率的に製造できる。さらに管状のシンプルな設計の装置と独自の触媒により、製造とメンテナンスのコストも削減される。同社はこの電解装置の長期的な耐久性と性能に関する試験を、数か月間にわたってHTDFで実施している。

同社のCEOであるクリス・ローランド(Chris Rowland)氏は、「試験が成功すれば、商用規模の電解装置の生産に向けて前進し、排出削減が困難な産業の脱炭素化に貢献することにつながる。これまでの試験の結果は予想を上回っている」と語った。

同社はこの技術を実証段階まで発展させるにあたり、研究の商用化を支援するCSIROの「Kick-Start」プログラムの下で支援を受けた。

セラミックセルの寸法熱膨張を測定するための膨張計
(出典:いずれもCSIRO)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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