2025年01月
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2024年の東南アジアとの科学技術協力の成果 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、2024年に同機構が行った、東南アジアとの科学技術やイノベーションに関する協力活動を紹介した。

CSIROは2024年の主な活動として以下を挙げている。

  • ベトナム首相との会合:3月に開催されたASEAN・豪州特別首脳会議のイベントの一環として、CSIROはベトナムのファム・ミン・チン(Pham Minh Chinh)首相とキャンベラで会合し、将来の科学的協力やベトナム技術革新支援プログラム「Aus4Innovation」について話し合った。

拡張現実ヘッドセットを体験するベトナムのファム・ミン・チン(Pham Minh Chinh)首相(中央)
(出典:CSIRO)

  • インド太平洋のプラスチック汚染問題への取り組み:「インド太平洋プラスチックイノベーションネットワーク(IPPIN)」では、2022年より、同地域のプラスチック問題に取り組むイノベーターを支援している。モナシュ大学(Monash University)の研究者らが主導するインドネシア・チタルム(Citarum)川の汚染対策プロジェクトでは、IPPINの支援を受け、毎週1.6トンのプラスチックごみや有機廃棄物を除去している。
  • バッテリーリサイクルに向けた取り組み:シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)との共同研究助成プログラム「CSIRO-A*STAR Research-Industry (2+2) Partnership Grant Program」を通じて、リチウムイオン電池(LIB)のリサイクルに向けたSKテス(SK tes)と豪州・シンガポールの研究機関の共同プロジェクトを支援している。
  • 食料安全保障への取り組み:A*STARとの共同プログラム「CSIRO-A*STAR Innovation in Food for Sustainability Program」やCSIROの「Venture Exchange Program」では、未来の食品の開発や食の持続可能性に取り組む豪州とシンガポールの研究開発プロジェクトを支援している。
  • デジタル能力強化の支援:「Data 4 Development (D4D) Fellowship Program」では、データ・設計におけるインドネシアの能力強化を目的として、インドネシアの政府職員を豪州に招き、CSIROのData61部門の専門家が問題解決やスキルアップを支援するプログラムを実施している。
  • 疾病対策・診断能力の強化:オーストラリア疾病対策センター(ACDP)では、東南アジアと協力して、新規病原体の検出や検査施設の拡充を通じたバイオセーフティの改善に取り組んでいる。

CSIROは、上記のような東南アジア地域との連携は同機構の科学的インパクトの拡大に大きな成果をもたらしており、2025年もこうした取り組みを続けていくと述べている。

(2024年12月9日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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