オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、同機構が開発した水質モニタリング・予測システム「AquaWatch Australia」の、ベトナムにおける実証プロジェクトを開始したことを発表した。
ハイフォン市のエビ養殖場に設置されたAquaWatch HydraSpectraユニット
(出典:CSIRO)
AquaWatchは衛星画像、水中センサー、AIを組み合わせ、水質に関するほぼリアルタイムのデータと予測を提供するシステムである。今回のプロジェクトでは、ハイフォン市アンラオ(An Lao)の実証サイトで、エビ養殖業者にAquaWatchのデータと予測を提供し、水質管理方法の改善を通じてエビ資源を守れるよう支援する。内水面養殖(inland aquaculture)向けにAquaWatchシステムを調整して利用する初めての試みであり、幅広い用途に役立つ知見が得られると期待されている。
CSIROのAquaWatch Australiaミッションを率いるアレックス・ヘルド(Alex Held)博士は、「このシステムは、藻類ブルームや過剰な堆積物、流出汚染(run off contamination)等の水質問題の兆候である水の色のわずかな変化を検知できる」と語る。また、「ベトナムの水産養殖業は国家経済に大きく貢献しているが、水質の問題は養殖業者に壊滅的な損失をもたらす可能性がある。AquaWatchは、こうしたリスクを軽減するための意思決定に役立つ、信頼できる適時のデータを提供することを目指す」と述べている。
この実証プロジェクトはCSIRO、ハノイ鉱山・地質大学(Hanoi University of Mining and Geology)、ベトナム国立水資源計画・調査センター(NAWAPI)が共同で実施する。
AquaWatchの実証サイトはこれまで豪州国内、チリ、マレーシア、イタリア、英国、米国に設置されている。
(2024年12月17日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部