2025年10月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2025年10月

診断プラットフォーム開発へ、新たな助成金獲得 NZカンタベリー大学

ニュージーランドのカンタベリー大学(UC)は9月4日、政府のビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)のエンデバー基金から960万NZドルの助成金を獲得し、病気や薬物の検出、さらにはワイン製造にも応用可能な診断プラットフォームの開発を進めると発表した。

本助成により、UCの研究者らは現場での検査、品質管理、ポイントオブケア診断に革新をもたらす可能性を持つバイオセンシングデバイスを開発する。研究はマイクロ流体デバイス工学、合成化学、生体分子設計、バイオセンシング技術の専門知識を結集して進められる。

主任研究者はUC生物科学部のレンウィック・ドブソン(Renwick Dobson)教授であり、研究チームはプラットフォームの汎用性を示すため、3つの用途に対応する4種類の試作デバイスを設計する計画だ。具体的には、アルツハイマー病の早期発見用1種、職場や路上での多剤検出用1種、ワイン醸造における品質管理を効率化する2種である。

これらはワインメーカー、法医毒物学者、警察、臨床医との協力を通じて開発される。各分野からは、迅速で信頼性の高い検査装置の必要性が強く示されており、研究成果は多方面での応用が期待される。

UC研究イノベーション担当副学長のルーシー・ジョンストン(Lucy Johnston)教授は「このプロジェクトは世界をリードする研究であり、研究者が注力している3つの応用分野において画期的な成果となるでしょう」と述べ、ドブソン教授らの取り組みを高く評価した。

また、本プロジェクトは産業界の需要に応える形で設計されており、エンドユーザーとの協働を通じて実用性を高める。さらに、研究を通じて新進の科学者を育成し、生物学・工学・商業化を横断する人材を輩出することで、ニュージーランドのバイオテクノロジー分野の発展にもつながるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る