2026年04月
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ブラックホールを形成しない恒星爆発の証拠を発見 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学は4月2日、同大学が主導する国際研究チームがブラックホールを形成しない恒星爆発の証拠を発見したと発表した。研究成果は学術誌Natureに掲載された。

恒星は寿命の終末に重力崩壊を起こし、多くの場合ブラックホールを形成する。しかし極めて大質量の恒星では、内部温度の上昇により光子が電子・陽電子対へと変換されることで圧力が低下し、恒星全体が対不安定型超新星(pair-instability supernovae)として爆発する。この現象では恒星は完全に破壊され、ブラックホールは残らないと理論的に考えられてきた。

本研究では、重力波を用いてブラックホールの性質を測定し、その質量分布に「禁制領域(forbidden range)」が存在することを示した。重力波はLIGO-Virgo-KAGRA重力波探査ネットワークにより検出される時空のゆがみであり、ブラックホール連星の合体などの天体現象に伴って発生する。解析の結果、太陽質量の約45倍を超えるブラックホールは稀であることが確認された。

この質量領域に恒星起源のブラックホールが存在しないのは、対応する質量の恒星が対不安定型超新星として爆発し、ブラックホールを形成しないためと考えられる。一方、この領域に存在するブラックホールは、恒星から直接形成されたものではなく、小さなブラックホール同士の合体によって生成された可能性が高い。

本研究を主導したモナシュ大学物理学・天文学部およびARC重力波発見研究拠点(OzGrav)のフイ・トン(Hui Tong)氏は「観測結果は対不安定性で説明でき、この質量領域では恒星起源のブラックホールは存在しません」と述べた。また、トロント大学のカナダ理論天体物理学研究所(CITA)のマヤ・フィッシュバック(Maya Fishbach)教授は「対不安定型超新星という宇宙最大級の爆発現象の間接的証拠を観測しています」と語り、ブラックホールが合体を通じて成長する可能性も示された。さらに、OzGravのエリック・スレーン(Eric Thrane)教授は「ブラックホールを通じて恒星内部の核反応を理解できる点が重要です」と指摘した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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