2024年07月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2024年07月

PM2.5が1億3500万人の早死に関連していることが明らかに シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は6月10日、同学の研究者が率いる研究により、1980~2020年までの微小粒子状物資(PM2.5)汚染が、全世界で1億3500万人の早死に関連していることが明らかになったと発表した。

(出典:NTU)

研究を率いたのは、アジア環境大学院(ASE)およびリーコンチアン医科大学(LKCMedicine)のスティーブ・イム(Steve Yim)准教授だ。研究ではPM2.5による汚染の影響が、エルニーニョ・南方振動、インド洋双極子、北大西洋振動などの気候変動減少によって悪化し、早死を14%増加させることを明らかにした。このような気象現象が発生すると、気温の上昇、風パターンの変化、降水量の減少により、大気の状態が停滞し、大気中の汚染物質が蓄積されると説明している。その結果、PM2.5の濃度が高くなり、人体へ有害となる。

研究では、PM2.5汚染が死亡率にどのような影響を及ぼすかを理解するため、研究者らはNASAが提供する地球大気中のPM2.5レベルに関する衛星データを調査し、米国に本部を置く保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation)が発表した公害に関連する病気の発症率と死亡率に関する統計も分析した。また、米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration)の気候パターンに関する情報も考慮している。

これまでの研究でも、大気汚染と気候の関連については検討されてきたが、今回の研究は世界的な規模で40年以上のデータを分析した点が新しい。特定の気候パターンが各地域の大気汚染にどのような影響を与えるかを調べることで、気候と大気汚染の複雑な関係に対する新たな洞察を提供している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る