2024年11月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2024年11月

磁場を利用した薬剤送達小型ソフトロボットの開発 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は10月24日、NTU機械・航空宇宙工学部(MAE)の研究チームが磁場を利用して薬物送達を制御する粒子サイズのソフトロボットを開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Materialsに掲載された。

発表された小型のソフトロボットは、合併症を最小限に抑え、病変部位に高濃度の薬物を投与できる可能性があり、標的薬剤送達の方法を大きく変えると期待される。これまでのソフトロボットは、最大3種類の薬物しか運搬できず、投与順序をプログラムすることもできないため、高度な標的併用療法を行うことができなかった。これに対して、開発されたロボットは、最大4種類の薬物を運搬し、プログラムで制御した順序と用量で投与することが可能となった。

このソフトロボットは、ケーブルを持たないアクチュエーターを備え、前後・上下・左右に動くことができる。また、薬物の漏れを抑えながら、不定形の環境の中を回転しながら進み、複数の部位に薬物を運搬することが可能である。この研究は、こうした機能を持った小型ロボットの最初の報告例と考えられる。

この小型のソフトロボットは、さまざまな病変部位に投与しなければならない高度な標的併用療法を実現する可能性を秘めている。研究チームは「今回開発されたソフトロボットは、副作用を最小限に抑えながら、治療効果を大幅に改善する可能性のある精密な機能を備えています」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る