2025年07月
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鉄道とスマートシティ分野でイノベーションセンター設立 マレーシア

マレーシア・ハイテク産官機構(MIGHT)は7月1日、鉄道およびスマートシティ分野における国産技術開発を促進する2つの新たなイノベーションセンターを設立したと発表した。

今回発表されたのは、産業技術イノベーションセンター(ITIC)とスマートシティ・エクスペリエンス&次世代イノベーションセンター(SCENIC)の2施設で、MIGHTの第30回年次総会に合わせて正式に発足した。ITICのプログラムはマレーシア鉄道産業公社(MARIC)やマレーシアスマートシティアライアンス協会(MSCA)と共同で開発され、国産ソリューションの導入をサポートしている。

この取り組みの一環として、MARICはテックストアマレーシア(Tech Store Malaysia)社と共同でスマート鉄道監視システムを開発した。このシステムは、列車の位置、速度、車軸数、過負荷などをリアルタイムで監視し、予測的かつ予防的メンテナンスによる安全性向上とダウンタイム削減を支援する。また、同分野における新興技術として、積層造形、レール欠陥検出、省エネ技術、高度なトレーニングツール、データに基づく意思決定、遠隔監視、スマートメンテナンス、列車自動化、スマート駅インフラなどの技術を取り上げた鉄道産業レポートもあわせて発表された。

一方SCENICは、工業化建築システム(IBS)を採用した複合材構造による施設であり、スマートシティ関連の国産技術を展示・実証するための共同拠点となることを目的としている。政策とイノベーションの橋渡しを担い、国の都市発展計画に沿った新技術の導入を促進する役割を果たすとされる。あわせて導入されたスマートシティ・ディレクトリは、スマートシティのバリューチェーンに沿ったテクノロジー、製品、サービスをカタログ化するもので、自治体や業界関係者のデータに基づく意思決定を支援する。

MIGHTは、今回の取り組みは10-10マレーシア科学技術イノベーションおよび経済フレームワーク(10-10 MySTIE)および国家科学技術イノベーション政策(DSTIN)2021-2030を後押しするものであり、国内の技術力の育成を通じてマレーシアのイノベーション環境を強化するというMIGHTの継続的な取り組みを反映していることを明らかにした。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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