中国科学院金属研究所瀋陽材料科学国家研究センターの研究チームはこのほど、リチウムイオン電池の正極材料を設計する新たな手法を開発した。微量元素の種類と組み合わせを工夫することで、コバルトを使用しない高ニッケル正極材料のリチウムイオン輸送能力と構造安定性を同時に改善した。関連成果は学術誌「Nature Synthesis」に掲載された。科技日報が伝えた。
研究チームは、添加する元素を選ぶための二つの基準として、イオン電荷密度と金属・酸素間の結合強度に着目した。イオン電荷密度の低い元素を添加すると、リチウムイオンの移動を妨げる静電的な抵抗が小さくなり、イオンが移動しやすくなる。一方、酸素との結合力が強い元素は材料の結晶構造を強化し、安定性を高める。これらを組み合わせることで、リチウムイオンの高速輸送と構造安定性を両立させた。
この手法に基づき、研究チームはマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウムの4元素を選び、複数の微量元素を添加したコバルト不使用の高ニッケル正極材料を作製した。各元素の添加量は原子比で約1%と少ないものの、組み合わせることで材料の性能を向上させた。これにより、微量元素の選択と組み合わせの有効性が実験で確認された。
電気化学試験では、3分間の急速充電で充電率が約80%に達した。また、約6分間の急速充放電条件で350サイクルを繰り返した後も、容量維持率は82.4%だった。この材料を使って作製した5.74アンペア時(Ah)の電池は、マイナス20度の低温環境でも278.6Wh/kgのエネルギー密度を記録した。寒冷地で使用される電気自動車(EV)などの新エネルギー車や蓄電設備向けの材料として、応用が期待される。
(提供元:人民網)