2024年07月
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インド人向け妊娠週数決定AIモデルを開発 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は6月18日、IIT-Mの研究者が、ファリダバードのトランスレーショナル健康科学・技術研究所(THSTI)とヴェールールのクリスチャン・メディカル・カレッジ(CMC)の研究者らと協力し、インド人妊婦の妊娠第2期と妊娠第3期における正確な妊娠週数(GA)を決定するための人工知能(AI)モデルを開発したと発表した。

女性の出産プロセスは、とてもデリケートである。妊婦が子どもを出産するまでの9~10カ月間は、最大限のケアと注意を払う必要がある。インドや中低所得国(LMICs)においては、妊婦の約30%が妊娠第1期(妊娠14週)を過ぎ、初めて産前ケア(出産前のケア)を求める事実がある。胎児の適切な年齢を知ることは、妊婦のケアや計画的な介入、新生児の適切なケアを行う上で不可欠である。

妊娠第2期または妊娠第3期の胎児年齢の判定には、これまでHadlockの式が用いられてきたが、この式は、北米に住む妊婦の数少ないサンプルから作られ、国によって胎児の大きさなどの違いがあることから、インド人女性や他のLMICsの女性における正しい胎児年齢を判定することは難しい。そこで、インド人や東南アジア人女性の妊娠期間(GA)を決定するには、異なる計算式が必要となっている。

今回開発されたモデルはGarbhini-GA2と呼ばれ、胎児の年齢を判定するためにインド人向けに開発された最初の人工知能(AI)モデルである。Garbhini-GA2は、インド政府から資金援助を受けたGARBH-Iniと呼ばれる研究組織のデータを使用している。GARBH-Iniによるインド北部でのコホート研究が基となり、Garbhini-GA2の開発が行われた。このコホート研究で得られた未使用データとインド南部で行われた外部のコホート研究のデータを用いてGarbhini-GA2の検証が行われている。Garbhini-GA2は、インドやLMICsで直面する課題の克服を目指している。このモデルは、東南アジア全域で使用できる可能性を秘めている。モデルの応用は、臨床医や疫学者、生物学者にとって有益なものになると期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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