インド科学技術省(Ministry of Science and Technology)は6月26日、インド科学教育研究大学(IISER)ティルパティ校の研究者らが、メタノールとパラホルムアルデヒドの混合物から水素ガスを生成する革新的な方法を開発したと発表した。研究成果は学術誌Catalysis Science & Technologyに掲載された。
(出典:PIB)
化石燃料の急速な枯渇により、代替エネルギー源の探索に拍車がかかり、持続可能で再生可能な資源の必要性が高まっている。水素ガスはエネルギーの貯蔵、輸送、さまざまな化学プロセスにおいて化石燃料に取って代わる可能性がある。
今回開発した技術は温和な条件下で、大規模な生産が行われているメタノールとパラホルムアルデヒドの混合物から水素ガスを発生させる。
この技術は、アルキンからアルケンへの転移水素化に有効であることが証明されており、有望な水素キャリアとして、化学合成や持続可能なエネルギーソリューションの発展に道を開く可能性がある。
IISERティルパティ校のエカンバラム・バララマン(Ekambaram Balaraman)教授の率いる研究チームは、市販のニッケル触媒を使用し、塩基や活性剤を使うことなく、メタノールとパラホルムアルデヒドから水素ガスを生成した。生成した水素はアルキンの化学選択的かつ立体選択的な部分転移水素化にも成功した。このプロセスを活用することで、合成価値を高めた生物活性分子へのアクセスが可能となる。研究チームは、ANRF(旧SERB、科学技術庁(DST)の法定機関)の支援を受けた。
本研究は、COxを発生させない水素ガスの生成に新たな道を開き、水素経済の発展に貢献すると期待される。メタノールとパラホルムアルデヒドが水素キャリアとして利用される技術は、世界的なエネルギー需要の増大に対処する大きな可能性を提供する。この技術は、持続可能なエネルギーソリューションの探求における重要な一歩であると考えられる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部