2023年03月
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ペロブスカイト-シリコンタンデム型太陽電池セルの商用化研究で助成金を獲得 豪シドニー大学

オーストラリア(豪州)のシドニー大学(University of Sydney)は1月4日、同大学物理学部(School of Physics)ナノサイエンス学科長(John Hooke Chair of Nanoscience)のアニタ・ホー-ベイリー(Anita Ho-Baillie)教授が、ペロブスカイト-シリコンタンデム型太陽電池セルの商用化に向けた企業との共同研究に対し、豪州再生可能エネルギー機構(ARENA)から278万豪ドルの研究助成金を授与されたと発表した。

ARENAによるこの助成金プログラムは、太陽光発電のコスト低下につながるプロジェクトに合計4,000万豪ドルを出資する。

同教授はシリコン太陽電池用の独自の金属被覆技術の商用化を目指す豪州のスタートアップ企業サンドライブ(SunDrive)と共同でこの研究に取り組む。

太陽電池セル

ペロブスカイトをシリコンの上に重ねたタンデム型太陽電池セルは、シリコンを単独で使用したセルよりもエネルギー変換効率が高い。「シリコンセルの最高効率は実験室内で約27%、商用では23%程度だが、ペロブスカイト-シリコンタンデム型セルでは現在、実験室内で30%超を達成できる」と同教授は語る。

一方で商用化に向けては「特に熱・光ストレス下での耐久性、コスト効果の高い製造工程、タンデム型セルからソーラーパネルを作るためのカプセル化(encapsulating)・パッケージ化技術」等の課題があるという。

太陽電池セルを手にするアニタ・ホー-ベイリー教授
(提供:いずれもシドニー大学)

同教授は太陽電池の研究で数々の成果を挙げており、2019年からクラリベイト(Clarivate)の「高被引用論文著者」に選ばれている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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