中国国家薬品監督管理局は20日、上海交通大学医学院附属第九人民医院の呉皓教授の研究チームと浙江諾爾康神経電子科技が共同開発した「聴性脳幹インプラント(ABI)」の製品登録を承認した。人工内耳では対応できない先天性の重度難聴に対し、脳幹に電気刺激を与えて聴覚の獲得を支援する装置で、中国初の能動型クラスIIIのABIとなる。科技日報が伝えた。
人工内耳は、重度の感音難聴の患者が聴覚を獲得するための主な手段だが、音の信号が内耳の蝸牛と聴神経を通じて脳に伝わる必要がある。呉教授によると、内耳に重い形成異常がある子どもや、蝸牛神経が生まれつき欠けている子どもには、人工内耳では対応できない。こうした子どもは聴覚障害児向けの学校で学ぶことになるという。
ABIは、脳幹の蝸牛神経核の表面に電極を埋め込み、蝸牛や聴神経を介さず、聴覚に関わる神経細胞を直接刺激する装置で、埋め込み型のブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の一種だ。ただし、脳幹は生命維持に関わる重要な部位であるため、手術の難易度が高く、対応できる医療機関は世界的にも限られている。このことが、中国での技術導入や普及の障壁となっていた。
呉教授は2019年、医学と工学の研究者による開発チームを結成し、脳幹の蝸牛神経核の構造に合わせた16チャンネルの電極アレイを開発した。高頻度の電気刺激に対応するチップと、中国語の四声に対応した信号の符号化方式を採用し、神経細胞への刺激と反応の記録を同時に行えるようにした。これまでに5件の発明特許を取得し、2022年には第4回上海知的財産権イノベーション賞を受賞した。
2021年7月には関連特許を一括してライセンス供与し、浙江諾爾康神経電子科技と上海漢声医療科技が臨床用製品の開発を進めることになった。22年には製品登録に向けた臨床試験を開始。24年までにすべての移植手術と追跡調査を終え、装置の作動開始から12カ月後の治療有効率は96.67%だった。

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