オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月9日、カーボンマネジメント(carbon management)に対する同機構の独自の取り組みを紹介した。
カーボンマネジメントは、気候変動への地球規模での対応における重要な側面の1つである。排出量ネットゼロを達成するには、現在や未来だけでなく過去に排出された二酸化炭素や、さまざまな排出源からの排出に対処する必要がある。
CSIROは幅広い分野にわたる研究や経験を活かして、カーボンマネジメントに対する以下のような取り組みを行っている。
- 二酸化炭素回収や自然を活用したアプローチ :産業への炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の本格導入に向け、大規模実証プロジェクトやパイロットプラントの運用を含む研究に取り組んでいる。森林再生、生態系を活用した貯留(enhanced ecosystem storage)、農地への炭素貯留(soil carbon farming)等の自然を活用したアプローチや、枯渇したガス油田を活用した地中貯留(subsurface storage)も研究している。
- 炭素閉じ込め:「CarbonLock」イニシアティブを通じて、海洋や藻類・細菌、岩石等を用いて大気中からCO2を永久的に除去する方法を探索している。また、直接空気回収(direct air capture)や炭素鉱物化(mineralisation)の革新的技術も開発している。
- 水素・スマートエネルギー:さまざまな分野の専門知識を活用して、水素や電動化に関する学際的な研究を行っている。「スマートエネルギー」に焦点を当てた電力系統のアップグレードについては、エネルギー、データ・デジタル(Data 61)、環境、鉱物資源の各部門が連携して取り組んでいる。
- 連携の促進:「Towards Net Zero」ミッションでは、排出削減に向けた政府や工業・農業関係者、研究者、地域社会の連携を促進している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部