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国際頭脳循環の重要性と日本の取り組み

現代社会ではSTIの戦略的重要性が高まっており、各国はこの分野での優れた研究成果を目指してしのぎを削っている。イノベーションの創出は、多様な⼈材が交流、協働、競争する環境の下で促進される。実際、研究力と国際頭脳循環とには相関関係があることが知られている。

国際頭脳循環の強化は、活⼒ある研究開発のための必須条件である。日本としても、グローバルな「知」の交流促進を図り、研究・イノベーション⼒を強化する必要があるが、そのためには、研究環境の国際化を進めるとともに、国際人材交流を推進し、国際的な頭脳循環のネットワークに日本がしっかり組み込まれていくことが重要である。

日本政府もそのような問題意識の下に取り組みを行っている。例えば、第6期科学技術・イノベーション基本計画では、以下の⼤⽬標が掲げられており、これら科学技術・イノベーション政策を遂⾏するにあたっては、国際的な協調と競争の視点を常に強く意識しなければならないとしている。

  • 我が国の社会を再設計し、地球規模課題の解決を世界に先駆けて達成し、国⺠の安全・安⼼を確保することで、国⺠⼀⼈ひとりが多様な幸せを得られるようにする
  • 多様性や卓越性を持った「知」を創出し続ける、世界最⾼⽔準の研究⼒を取り戻す
  • ⽇本全体を Society 5.0 へと転換するため、多様な幸せを追求し、課題に⽴ち向かう⼈材を育成する

また、JSTでは、博士課程学生やポスドク、若手研究者が海外の一流研究室で武者修行したり、ワークショップを開催したりするためのソフトマネーを支援する先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)の公募が2023年6月に開始された。2022年度補正予算501億円(JST440億円、AMED61億円)の基金を原資に、日本人研究者の国際科学トップサークルへの参加を促進し、優秀な若手研究者同士の交流・コネクション強化を図る。

本特集では、多くの国・地域からわが国の国際頭脳循環に関する取組に多くの期待が寄せられている今、関係者へのインタビューを通じて、卓越した研究成果を創出するための国際頭脳循環の促進に向けた日本の研究現場における取り組みの現状と課題を紹介するとともに、グローバル研究者を引きつけるための鍵となる日本の研究環境の魅力等を発信していく。

記事一覧:

2024年度

  1. No.1  インドの若い頭脳を日本に~学術交流の新しい試み

2023年度

  1. No.1  沖縄科学技術大学院大学(OIST) 前学長 ピーター・グルース(Peter Gruss)博士
  2. No.2  沖縄科学技術大学院大学(OIST) ゲイル・トリップ(Gail Tripp)博士
  3. No.3  沖縄科学技術大学院大学(OIST) ピナキ・チャクラボルティ(Pinaki Chakraborty)博士
  4. No.4  EHESS日仏財団(FFJ) 理事長 セバスチャン・ルシュバリエ(Sébastien Lechevalier)教授
  5. No.5  国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS) 宝野和博 理事長
  6. No.6  国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS) ウー・ラダー(Wu Rudder)主任研究員
  7. No.7  国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED) 寶 馨 理事長
  8. No.8  国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED) シャクティ・P. C.(Shakti P. C.)主任専門研究員
  9. No.9  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST) 小安重夫 理事長
  10. No.10  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST) 張 明栄 部長
  11. No.11  国立研究開発法人理化学研究所(RIKEN) 五神 真 理事長
  12. No.12  国立研究開発法人理化学研究所(RIKEN) 于 秀珍 チームリーダー

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